20
8月
2012
【事案】 バイクで直進中、左側から急発進した自動車と接触、左手首を骨折する。 【問題点】 橈骨をプレート固定、抜釘後もほぼ骨の癒合は問題ない。しかし可動域制限は深刻で、1/2制限の10級レベルに。さらに掌にしびれが残存。主治医も「経過は良好」、「リハビリで回復するはず」と後遺障害には消極的な姿勢。 そして毎度の事ながら「半分しか曲がらなくなった!」と言っても10級はそうやすやすとは認められない。橈骨の癒合が変形なく良好であれば、12級に落として判断されるからである。 【立証ポイント】 深刻な可動域制限の原因についてあらゆる可能性を追求することから始めた。 まず手根管症候群を疑い、神経伝達速度検査を行う。若干の異常数値を得たが、これでは弱い。 続いて3.0テスラMRIで徹底検査し、TFCC損傷が疑われる画像所見を見出す。まだ決定的ではない。 しかしこの画像から尺骨の先端(茎状突起)が骨片化(折れた骨の破片がくっついてない)している?ことを発見。そこで受傷時からのXP(レントゲン写真)を徹底的に見直し、主治医に「先生、尺骨茎状突起が骨片化していませんか?これ偽関節と言えませんか?」と意見具中。ここまでくると当方の熱意、執念に医師も呆れ顔、「参った」とばかりに「尺骨遠位端骨折」の診断名を追加、茎状突起の偽関節化を診断書に記載して頂いた。 最後に手首の可動域の測定だけではなく、回内・回外の測定もお願いし、完全無欠の診断書を完成させた。 結果は「可動域制限」10級10号、「長管骨の変形」12級8号が認められ、併合9級に。10級を追いかけ、追い抜いてしまった・・・。 お医者さんには迷惑でしたが、我ながらいい仕事をしたと自画自賛。 (平成24年8月)