【事案】  バイクで直進中、対向右折自動車と衝突、前方へ飛ばされ顔面から路面に着地したもの。頭蓋底、前頭骨、上顎骨、鼻骨、頬骨、下顎骨を骨折する。他には歯牙2本欠損、つまり顔面が砕けてしまった。医学的にはルフォーⅠⅡⅢの複合型。顔面の修復にまずチタンで5か所の固定を施し、以後数度の形成手術を行った。 【問題点】  受傷2年後に受任する。本人の治療努力もあり、幸い顔面に醜状痕は残らず整復もまずまず。しかしこれだけ損傷があればいくつもの障害が予想される。5感(視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚)すべてをチェックしたところ、「視野のゆがみ」、「匂いがしないこと」、「味が一部おかしい」、「顔面の麻痺」、「めまい、ふらつき」を確認、それぞれ検査を進める。 【立証ポイント】  ヘスチャートで視野の狭窄、複視から13級2号、T&Tオルファクトメーターにより嗅覚脱失を確認し12級相当を確保する。ろ紙ディスク法による味覚検査では基準以下、その他いずれも微妙な数値しか得られず、結果として併合11級。仮に顔面の多発骨折でその他の症状を追っても神経症状の12級13号となり、併合等級には影響ない。後の賠償交渉における逸失利益期間の確保からも神経症状の13号より、視野、嗅覚での等級が有利となるのでまずまずの結果。  ケガの割には回復がよく、私としては11級では物足りないが、もちろんこれは障害が比較的少なくて済んだということです。 (平成25年9月)

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【事案】  バイクで直進中、左路外から飛び出した自動車と衝突、転倒、傷病名の通り左のすねはズタズタに。膝部の近位端から骨幹部まで脛骨の骨折が及び、腓骨も骨幹部で折れていた。受傷直後は最悪、切断の選択もあった。他に左腕(尺骨)骨幹部も骨折。  脚は腰の骨(腸骨)から骨採取し、プレートも複数個所固定する大手術となった。ケガの重篤度から障害認定までの手続きを弁護士から託された。 【問題点】  癒合は非常に難航し、1年後に恐れていた感染症を発症、再び足を切開し洗浄・消毒する手術となった。立証以前になんといっても回復が優先。感染症の再発ないことを祈る日々が続く。症状固定までの治療・リハビリ期間を通じて丁寧にフォローしていく必要があった。  【立証ポイント】  明らかな障害は立証も易しいと言える。しかし「余すところなく」立証するためには綿密な立証プランを描くことが重要。緻密に細部まで障害を拾い上げて診断書を完成させる必要がある。もちろん具体的に障害を説明するべく、別紙の申述書は欠かせない。外貌写真の提出も必須である。  認定内容は以下の通り。  まず左足関節の可動域は1/2制限で10級11号、左膝関節は同じく3/4制限で12級7号、ここで同一系列の併合として9級相当を確保。  さらに左下肢の短縮障害も2cmの短縮を計測、13級8号を加算、下肢の開放創&手術痕で醜条痕14級5号、腕は特に障害残らず。  以上、併合結果から併合8級とする。ほぼ計算通りの認定となった。ちなみに骨採取した骨盤の変形は外見上目立たないため取りこぼした。最近の腸骨変形の12級認定は厳しい傾向と言える。 (平成26年1月)

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【事案】  原付バイクで直進中、対向自動車が駐車場に入るため急に右折して衝突。肩から転倒して左上腕骨の大結節、肩甲骨、左第6、7、10肋骨を骨折。 【問題点】  癒合状態は良好なものの、肩関節の可動域制限が改善しない。職業もフリーターでなかなか復職しない被害者に対し、相手保険会社は治療費を打切る。その後健保でだらだら接骨院でのリハビリが続き、症状固定しないまま1年が過ぎた。病院も半年以上ご無沙汰になってしまい、診断書の記載に難儀して連携弁護士に相談に訪れた。 【立証ポイント】  症状固定しなければ話が進まない。まずは病院への通院を再開し、なぜ肩が挙がらないのか精査する必要がある。弁護士から案件を預かり、主治医に面談してMRI検査を追加依頼する。靭帯の損傷を検証し、骨折箇所の確認と可動域制限の理由を診断書に落とし込み、可動域の計測に立ち合って外転90度を計測していただく。  大結節の骨折状態と癒合状態が可動域制限に直接影響があるのかがポイント。わずかながら肩甲骨骨折もあり、それら複合的な原因があったものとして10級を確保する。  さらに逸失利益の確保のため、復職を急がせるなど生活再建に厳しい指導を行う。ケガから早く社会復帰させることも私たちの使命と思っています。   (平成25年9月)

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【事案】  自転車交差点を通過のところ自動車と出合頭衝突。意識を失うも、幸い脳は受傷なし。外傷は鎖骨骨折、他打撲のみ。鎖骨は骨幹部にプレート固定を施す。 【問題点】  鎖骨は幸い外見上の変形はなく、2cm程度の手術痕を残すのみ。その後経過も良く、後遺障害の認定基準である12級5号の鎖骨変形は無理。また外貌醜条痕14級4号も鎖骨部分では顔や手足と違い該当しない部位であり、大きさも障害の基準外。  そして完全な回復を願う両親は相手保険会社の示談の提示について応じず、そのまま2年間放置状態に。 【立証ポイント】  こうなったら、努力賞・お土産とも言うべき14級9号を目指すのが我々の仕事。  まず無駄と分かっていながら、事故当初の意識障害に注目し「頭部外傷後の意識障害の所見について」の記載を主治医に依頼する。これは事故の深刻度を理解いただくことはもちろん、脳障害の残存を心配し、長い治療期間を必要とした根拠とする。  そして無駄と分かっていながら、外貌写真を添付。なんといっても18歳の女子です。1mmの傷でも許せないのです。  さらに無駄と分かっていながら腰痛の訴えを含めた父親による切々とした気持ち、一連の経過を書面にして添付する。  申請後、なぜか自賠責から腰部のXPの提出依頼がきたので取り寄せて提出する。  結果として鎖骨部の疼痛で14級9号、腰痛で14級9号のダブル認定で併合14級に。こちらの主張を好意的に受け止めてくれたよう。  自賠責も人の子、娘を思う親の気持ちに応えてくれたのかな? (平成25年6月)

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【事案】  自転車で通勤途中、右後方よりの自動車の車線変更で接触、転倒する。自動車はそのまま逃走。目撃者もいない。  頭蓋骨骨折、急性硬膜外血腫、急性くも膜下血腫となる。その後、体が回復するも、短期記憶障害、倦怠感から職場復帰ができず、何事に対しても自発性が極端に低下する。性格変化、嗅覚障害も確認できる。 【問題点】  実家から離れひとり暮らしのため、家族の観察が及ばない。同居人である女性ともその後別れることになった為、私がぴったり付き添い立証を進めるしかない。さらにひき逃げ犯は捕まらず、治療費は労災で賄えたものの、後遺障害については政府の保障事業に対して申請を行うことにした。 【立証ポイント】  神経心理学検査が可能な病院へ誘致し、2か月にわたる検査を病院に同行し辛抱強く行う。ある日は電車で寝込んでしまい検査に間に合わないこともあった。嗅覚検査も事故から4年経っているが、専門医にお願いしてデータをそろえる。また家族の観察については遠隔地の実家と連絡をとりつつ、同居していた女性に懇願し、なんとか協力を取り付けて日常生活状況報告と申述書を完成させた。(ふーっ)  政府の保障事業の1年にわたる長い審査で高次脳機能障害5級、嗅覚障害14級相当が認定される。現在は労災への後遺障害年金の請求を進めるかたわら、並行して実家の父が加入している自動車保険に対して、無保険車傷害特約・人身傷害特約の請求を連携弁護士から行っている。解決までまだしばらく時間がかかりそうです。 (平成25年10月)

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【事案】  自転車直進中、後方より左折のトラックに巻き込まれた。右硬膜下血腫、右硬膜外血腫、右くも膜下血腫等、右側頭葉に重大なダメージを受ける。3回の手術を受け、回復が進むも、健忘、注意・遂行能力障害、そして性格変化がもっとも大きな障害として残る。 【問題点】  やはり性格変化を明らかにすることです。記憶や遂行能力などはある程度神経心理学検査でデータ化が可能です。しかし事故前後の性格の変化は家族しかわかりません。また易怒性が顕著なため、入院先の病院でもトラブル多く、追い出されるように退院した。これでは病院の協力も望めません。 【立証ポイント】  高次脳機能障害に理解のあるリハビリ病院へ誘致し、主治医、作業療法士と共にリハビリ計画を策定する。諸先生方の熱意とホスピタリティのおかげで、荒れていた本件被害者さんは落ち着いてリハビリと神経心理学検査を行うことができた。  さらに同居の長女、近隣に住む長男夫婦と病院同行の傍ら何度も打合わせを行い、日常生活状況報告書はもちろん、その別紙「申述書」を勝負どころと捉え、性格変化を徹底的に記述する。  5~7級を覚悟した本件ですが、性格変化の重篤度が全面的に認められ3級となった。怒りさえしなければ、家族や近隣とも普通に接することができるのです。一歩間違えれば性格変化が見落とされ、低い等級になってしまったかもしれない案件でした。 (平成25年2月)

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【事案】  30代の男性。バイクで自動車と衝突、救急搬送され即入院、目立った脳の損傷はなく、意識も朦朧としていた程度だったので1週間後に退院となった。しかし、めまい・ふらつき、見当識・記憶障害に悩まされる。改善なく高次脳機能障害として後遺障害を申請するも否定され、めまい・ふらつきのみの評価で12級認定されるのみ。 【問題点】  受傷初期において普通に会話ができ、歩ける姿を見て、主治医は早々に退院を指示、めまいは経過観察とされる。また、記憶障害、認知障害などは事故のショックのせいと考えられ、家族も深刻に捉えず、また当時の婚約者とも予定通り結婚する。異常がなかなか治らないことに気付くも、妻は妊娠・出産で障害の立証どころではなくなってしまった。こうして高次脳機能障害が見逃されたまま月日が流れ、時効が迫る。 【立証】  受任後、時効を止めるため連携弁護士がただちに訴訟を提起、並行して2年の間にのべ18回の検査通院(うち12回同行)を行った。受傷初期の意識障害、画像所見はいずれも微妙であったが、専門医の協力のもと神経心理学検査のやり直しと画像鑑定を進める。データから認知、記憶、注意機能、遂行能力の障害が顕在化する。  しかし裁判上での異議申立てで、自賠責の回答はまたしても「前回通り12級」。相手損保の代理人も、「高次脳機能障害ではなく、元々知能が低い」等、えげつない反論を展開する。  結局、判決まで突っ走り、法廷で本人と家族の口頭陳述、審問を経てようやく5級を勝ち取る。その後相手損保が控訴したが、高裁でほぼ地裁判決通りの和解となった。  なぜこのような苦しい道となったのか・・・最初の病院で医師が高次脳機能障害の予断をしなかったことに尽きます。主治医は事故前の患者の性格・能力を知りません。繊細な変化は捉えづらいのです。また家族も本人の様子が多少おかしくても、普通に歩けたり話ができれば、時間の経過とともに回復するはずと判断してしまいます。確かに多くの患者は回復するでしょう。しかしこのように主治医、家族から見逃される被害者も存在するのです。 【後日談】  一般的な就労に制限があるこの被害者は現在、家族で田舎に転居し農家の手伝いをしています。障害を抱えながらも、妻と二人の子供を力強く養っています。何か困ったことがあればいつでも駆け付けようと思っています。 (平成25年7月)

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【事案】  歩行中、後方より自動車に衝突され、頭部を負傷。画像所見、意識障害があったものの、退院後の経過もよく、単なる脳外傷の診断のまま、神経症状の残存(14級9号)に留まる。 【問題点】  当時ひとり暮らしであったため、易疲労性(精神的に疲れやすい)や性格変化について家族の観察が及ばず、事故後微妙な変化を主張する者がいなかったために見逃されてしまった。 【立証】  別住まいの親族が改善しない症状に気付き、当方に依頼、連携弁護士と共同して異議申立てを行い、正しい認定に至った。その後訴訟に移行、異議申立ての結果が尊重され、争点少なく、ほぼ勝訴内容の和解となる。 (平成26年7月)

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【事案】 信号待ちをしていたところ、後方から2トントラックに追突され、その勢いで前方の自動車に追突し受傷したもの。 【問題点】 ・兵庫県からの遠距離サポート ・自宅の最寄りの整形外科にしたが、診察時の主治医が怖くて不安との声   【立証のポイント】 福岡の相談会にお呼びして被害者の不安をお聞きし、相談会の翌日に、治療初期でしたが、医師面談を行った。治療早期は、治療開始時期であり、医師面談するのが良いか悪いか、判断が分かれるところだが、ケースバイケースと考えます。問題の医師は私も怖くて不安を感じたので、協力的と確信出来る医院に即、転院して頂いた。半年間、快適に安心して信頼できる医師の元で通院するのは、治療効果の上でも大切な事と考えます。 転院先の主治医は優しく協力的で、十分な治療を受けて頂いた。 症状固定日には、再び福岡に訪れ後遺障害診断書の作成を医師に依頼したところ、非常に協力的に承諾下さり、問題なく14級9号が認定された。 (平成25年7月)

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【事案】 横断歩道を歩行中、自動車が接触し転倒して受傷したもの。 【問題点】 ・相談会でお越しになった際に、現主治医に対する不信感を訴えていた。 【立証のポイント】 相談会にて契約後、被害者の不安を確認すべく、迅速に医師面談を行った。問題の主治医は、医師面談の面談料はしっかり請求しながらも、面談自体は2分しないうちに、診察室から私自身を追い出しまともな話はほとんどさせてもらえなかった。 その後すぐに、被害者の通院可能地域で協力的な開業医を紹介し、転院して頂いた。協力的な医師の元、安心して通院して頂き、症状固定時には丁寧な後遺障害診断書の作成を医師に依頼したことにより、何の問題もなく14級9号が認定された。 (平成25年6月)

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