腓骨神経麻痺
腓骨神経とは、坐骨神経から続く総腓骨神経が深腓骨神経と浅腓骨神経とに分かれ、膝の外側を通って腓骨頭の後ろに巻きつくようにして足首まで続き、そのまま足先へと続く神経です。
腓骨神経麻痺とは、上記の腓骨神経が断裂したり圧迫されることによって足首や足指の運動に制限が出たり、下腿から下の部分にしびれなどの知覚異常を引き起こすことを言います。
長時間足を組んでいたり、床に寝転んで同じ場所をずっと圧迫していることによって足がしびれることがあると思いますが、これらも軽い腓骨神経麻痺です。
交通事故では、腓骨頭骨折や腓骨骨幹部骨折などに伴って発症します。
腓骨神経が完全に麻痺すると、足関節や足指を自力で背屈する事が出来なくなります。
そうなると、下垂足と言って足が垂れ下がったままの状態になり、スリッパなどがすぐに脱げてしまう、小さなでっぱりで躓いてしまうなどの状態になり、歩行にも硬性装具が必要になります。
また、下腿部の疼痛と筋委縮が起こり、足が細っていきます。
これを防ぐために生涯に渡ってリハビリを行って行かなければなりません。
治療としては、腓骨神経麻痺が圧迫を原因としているのであれば、圧迫を取り除き安静を保つことで改善することもありますが、断裂したもについては、不可逆性で改善は望めません。
神経剥離・神経縫合・神経移植などの手術の選択となります。
腓骨神経麻痺の診断には、XP撮影、MRI撮影に加え、
・足関節・足指関節の可動域の計測
・徒手筋力検査による筋力低下の計測
・筋委縮に対して下腿周径の計測
・ティネルサインの有無
ティネルサイン・・・神経が圧迫されている部位を指や道具で叩くと、
しびれている指先に痛みが発生します。
・針筋電図検査・神経伝導速度検査による脱神経所見の有無
などの確認をします。
後遺障害としては、足関節が下垂足になり用を廃したものとなれば8級7号が、足関節の可動域が2分の1に制限されれば10級11号が、
足指の全部の用を廃したものとなれば9級15号が、1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したものとなれば12級12号が認定される可能性があり、それぞれ併合して、7級~11級となる可能性があります。