肩鎖関節脱臼

鎖骨骨折に関連した傷病として、肩鎖関節脱臼があります。
交通事故では、肩から地面に落下したり、地面に強く手をついたこと等により起こります。
オートバイで転倒した時に比較的多く発生します。

肩鎖関節は、肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯(円錐靭帯+菱形靭帯)の2本(3本)の靭帯が、お互いに引っ張り合い、関節のズレを防いでいます。

肩鎖関節脱臼は脱臼の程度により3つに分類されます。

Ⅰ度:捻挫・・・・・・・・・・・・・・・・・・肩鎖靭帯が多少損傷(伸びた)した程度、レントゲンでは異常なし
Ⅱ度:不完全脱臼(亜脱臼)・・・・・肩鎖靭帯の断裂
Ⅲ度:完全脱臼・・・・・・・・・・・・・・肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯の断裂
※現在では、完全脱臼の程度や方向によって、Ⅲ度をさらに4つに分類する方法がとられることがあります。

Ⅲ度:上方脱臼・・・・・・肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯が断裂して鎖骨が上方にずれる
Ⅳ度:後方脱臼・・・・・・肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯が断裂して鎖骨が後方にずれる
Ⅴ度:明らか脱臼・・・・・鎖骨につく筋肉なども全部はずれる
Ⅵ度:下方脱臼・・・・・・肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯が断裂して鎖骨が下方にずれる、ほとんど起こらない
完全脱臼の治療には手術が必要ですが、脱臼が残存しても機能障害は比較的少なくなります。

鎖骨の遠位端部が、上方に突出しますので、単純レントゲン撮影で診断が可能ですが、場合によっては、ストレス撮影が必要なこともあります。

肩鎖関節捻挫では、テーピングや三角巾固定などの保存療法を2週間ぐらい行います。
安静期間中無理をしなければ、予後は良好です。

肩鎖関節亜脱臼では、テーピングや三角巾固定などの保存療法を3~4週間ぐらい行います。
最初の処置が不十分であったり、固定期間が短かったりすると、変形が残存したままになります。

肩鎖関節完全脱臼では、手術を選択することになります。
単純な上方脱臼の場合は、徒手整復後、包帯やテーピング固定を4週間ぐらい行う方法もあります。
変形は残存しますが、機能障害は比較的少なくて済みます。

いずれにしても、肩関節が拘縮するのを防ぐためにも、早めに肩関節を動かすことが重要です。

後遺障害としては、完全脱臼で手術を行わない場合など、変形障害を残すことがありますので、その場合は12級5号が、痛みの残存する場合には14級9号が認定される可能性があります。

また、肩関節に可動域制限を残せば、2分の1の可動域制限で10級10号、4分の3の可動域制限で12級6号が認定される可能性があります。

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