上腕骨近位端骨折
上腕骨近位端骨折とは、上腕骨の肩に近い部分の骨折の事です。
医師によっては上腕骨頸部骨折という診断名になることもあります。
交通事故では、骨粗しょう症のある高齢者が転んで手をついたり、地面に肩や腕を打ち付けたりすることで骨折します。
骨折ですので、激しい痛みと肩関節の可動制限を伴います。
レントゲン撮影で診断可能ですが、場合によってはCT撮影が必要になることもあります。
上腕骨近位端骨折は骨折した部位によって、上腕骨頭骨折、解剖頚骨折、外科頚骨折、小結節骨折、大結節骨折に分かれ、骨片の数と相まって症状や治療法が変わってきます。
上腕骨頭、解剖頚の部分で骨折が起こる可能性はあまり高くないですが、この部分が骨折すると、関節内骨折のため骨癒合がしにくく、
転位が大きい場合は血流低下から骨頭壊死を引き起こし、人工関節が必要となる場合があります。
外科頚骨折は頻発する骨折ですが、骨癒合は比較的良好です。
大結節は棘上筋腱が付着していますので、予後が不良ですと腱板機能に障害が残ります。
転位の小さい場合は3週間ほど三角巾による保存療法がとられ、早い段階から三角巾で吊ったままの状態でリハビリを行いますが、転位の大きい場合は手術の選択となり、髄内釘やプレートで固定します。
後遺障害としては、骨折で肩関節に可動域制限を残せば、2分の1の可動域制限で10級10号、4分の3の可動域制限で12級6号が、人工関節、人口骨頭置換術を行った場合は、10級10号が認定される可能性があります。