一口に脛骨骨折と言っても、骨折した部位によって、或いは、同じ部位でも、医師によって傷病名は様々です。
脛骨顆部骨折
脛骨の上部、膝関節の部分の骨折です。
医師によって、脛骨近位端骨折、高原骨折、プラトー骨折などの傷病名が付くこともあります。
脛骨・腓骨を合わせて下腿骨と言いますが、交通事故の下腿骨骨折において、最も多発する骨折のひとつです。
また、膝に大きな外力が加わったときに起こる骨折ですから、半月板損傷、前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、膝蓋骨骨折などを併発することも多くあります。
症状としては、激痛、腫れ、膝の可動域制限などがあります。
治療としては、転位の小さいものは徒手整復後ギブス固定となりますが、転位が大きいものや複数個所での骨折の場合は手術を選択することになります。
骨折のタイプによって手術法が異なります。
①陥没骨折・・・陥没を整復した後の空洞を、自身の腸骨や人工骨で埋めます。
②骨折片転位・・・骨折片をねじまたはプレートで固定します。
術後のリハビリは重要です。
特に、膝関節の拘縮を防ぐためのPCMを使ってのリハビリが必要です。
この部分の骨折では、膝の可動域に制限を残すことが多くなります。
骨折により可動域に2分の1以上の制限が残った場合は後遺障害10級11号が、可動域に4分の3以上の制限が残った場合は後遺障害12級7号が、
可動域に制限のこらない場合でも、常時疼痛がある場合は後遺障害12級13号、14級9号が認定される可能性があります。
また、骨折部が変形して癒合した場合も後遺障害を残す場合があります。
変形癒合に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1179.html
脛骨骨幹部骨折
脛骨の真ん中あたりで折れるのを骨幹部骨折と言います。
脛骨・腓骨を合わせて下腿骨と言いますが、交通事故による下腿骨の骨折において、骨幹部骨折は最も多発する骨折です。
自身のすねを見て頂ければわかるとおり、脛骨骨幹部は皮膚のすぐ下にあるため、骨が皮膚を突き破ってしまい、開放骨折になることが多くあります。
また、下腿骨の下方、3分の1の部分の骨折は血流が悪いため、骨の癒合が進まず、偽関節を残すことにも注意が必要です。
症状としては、激しい痛みがあり、歩く事が出来ません。
開放骨折では、骨折片が皮膚を突き破り、皮膚に小さな傷がみられることもあります。
転位の小さい場合は、徒手整復の上ギブス固定となりますが、転位の大きい場合は、手術となります。
かかとの骨にキルシュナー銅線を入れ、その銅線を直接牽引する方法のほか、直接牽引が出来ないような複雑な骨折の場合、①キュンチャー髄内固定や②ねじ・プレートによる固定を行います。
最近では、骨折部を切開しないで、離れた部位から小切開を加えてプレートを挿入し、骨折部をねじ固定する手術も普及しています。
後遺障害としては、偽関節、短縮障害、変形癒合などがあります。
偽関節に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1081.html
骨がきちんとくっつかずに、まるで大腿骨の真ん中に関節が出来たようになることです。
短縮障害に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1083.html
また、癒合するときに変形して癒合してしまうこともあります。
変形癒合に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1179.html
偽関節を残せば、後遺障害8級9号が、変形を残せば後遺障害12級8号が、可能性は低いですが、下肢の短縮を残せば、短縮度合いにより8級5号、10級8号、13級8号が認定される可能性があります。