後十字靭帯損傷・断裂
後十字靭帯とは、膝関節の中にある靭帯で、大腿骨と脛骨を繋ぎ、脛骨が後方にずれたり、膝が不安定になるのを防ぐ機能を持っていますが、前十字靭帯損傷・断裂ほど膝の不安定さはありません。
膝蓋骨・脛骨顆部骨折・内側側副靭帯損傷などの他の症状を伴うことが多くみられます。
また、後十字靭帯の断裂ではなく、後十字靭帯付着部剥離骨折を起こすこともあります。
症状としては、断裂した当初は激痛と膝関節周辺の腫れ膝関節可動域制限がありますが、これも前十字靭帯ほどの激痛ではなく、日がたつとともに、痛みも腫れも引いてきます。
診断には、まずはposterior sagテストで大まかな診断をし、その後MRI撮影するのが一般的です。
posterior sagテストとは、脛骨が後方に落ち込むか、動揺性やズレがあるかを調べる検査です。
治療法としては、保存治療と手術の選択です。
保存療法として、硬性装具を使用しての大腿四頭筋の強化が一般的であり、
前十字靭帯断裂の場合のように、手術を選択する可能性は少なくなりますが、他の部位を複合的に損傷した場合や脛骨の落ち込みが10mm以上のもの、日常生活に支障をきたしているものなどは再建術の選択です。
前十字靭帯再建術に比べて、後十字靭帯再建術は、膝の後ろに動脈や神経があること、前十字靭帯などに比べて強度が高いため、再建後の強度を保たなければならない事などから難易度が高くなります。
再建に使用する腱は膝蓋腱などがあります。
後十靭帯付着部剥離骨折の場合は、靭帯ごと骨片を整復し、CCSで固定する方法がとられることが一般的です。
後十字靭帯損傷・断裂では動揺関節が後遺障害の対象になります。
手術をした場合は、膝関節が動揺することはほとんどありませんが、保存療法を選択した場合は、膝関節に動揺を残す可能性があります。
動揺性で、固定装具が常時必要であれば8級、常時ではないものは10級、上肢必要ではないが、激しい労働時に必要であれば12級が認定される可能性があります。
動揺関節がこらない場合でも、常時疼痛がある場合は後遺障害12級13号、14級9号が認定される可能性があります。
立証には、ストレスXP撮影が必要です。