事故に遭ってから示談するまでの流れ
1.警察へ連絡
交通事故の当事者は、道交法第72条によって警察への届け出が義務ずけられています。また、自動車保険を使用する場合、自動車安全運転センターで出してもらう交通事故証明書が必要です。そのためには警察への届け出が必要です。
よく勘違いされている方が見えますが、警察に届け出ただけでは「人身事故」になりません。事故後病院に行き、そこで診断書を発行してもらい、それを警察に提出して初めて「人身事故」になります。
ですから、たとえ病院で治療をしたとしても、診断書を警察に提出しなれば「物損事故」のままです。「物損事故」のままでも、保険会社は治療費の対応をしてくれますし、「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を出せば後遺障害の申請も出来ますが、人身事故は人身事故としてきちんと届け出るべきだと考えます。
2.事故現場の状況の記録
事故の記憶は時間がたつと薄れてしまうももです。また、後になって加害者が自分に有利な証言に変えてしまう事もあり得ますから、事故で被害に遭った場合は、メモ・デジカメ・携帯のカメラ等で記録を残しておきましょう。
3.相手の連絡先などの確認
後で連絡が確実に取れるように、相手の車のナンバー、免許証の住所、勤務先、自賠責・任意保険の会社名などを相手に確認します。
4.警察による実況見分調書の作成
実況検分によって作られた実況見分調書は、損害賠償において重要な証拠となります。この実況見分調書により事故の状況が把握されるので、過失割合に大きな影響を与えてしまうのです。ですから事故状況をきちんと納得いくまで伝えて下さい。納得出来ない場合は安易にサインをしないで下さい。
5.任意保険へ連絡
任意保険の対人賠償保険では、約款に「事故発生から60日以上報告が無かった場合には保険金を支払わない」と明記してあるものもあるので、任意保険への連絡を忘れずに行います。
6.病院での治療
7.保険会社からの示談の要請
数ヶ月間治療を継続していると、治療途中で保険会社から「今月いっぱいで治療費の支払いを終了しますので治療を終了して下さい」というような事を言われます。ですが、たとえ保険会社から治療費打ち切りを通告されても、無理に治療を終了する事はありません。
ただし、保険会社からの治療費の建て替え払いはなくなるので、治療費を立て替えて支払わなくてはなりません。支払った治療費は、示談の時に返してもらう事になります。ですから、痛いのに無理に治療を終了して示談する必要はありません。納得するまで治療をしてから示談交渉に臨みます。
※立て替えた治療費に関しては、示談の時に必ず支払われるとは限りません。
8.治療終了・後遺障害の申請
症状がなくなれば治療を終了し示談へ、症状が残存する場合は症状固定とし、後遺障害認定の申請を行います。
必要があれば異議申し立て
帰ってきた結果を検討し、必要があれば異議申し立てを行います。
9.示談
認定された等級に納得できれば、後遺障害を確定し、加害者や保険会社と示談交渉に移ります。話し合いがまとまれば示談完了です。
10.(財)交通事故紛争処理センター
お互いの話し合いで解決できない場合は、(財)交通事故紛争処理センターに斡旋を申し込む事が出来ます。ここでの決定には、損保協会、JA共済、全労災は従うとしています。
ですが、その他の共済は従わない場合があります。その場合は、(財)日弁連交通事故相談センターでの斡旋を考えます。JA共済、全労災、教職員共済生協、自治協会、町村生協、都市生協の各共済は、(財)日弁連交通事故相談センターの斡旋を尊重するとしています。
11.調停
(財)交通事故紛争処理センターにおける裁定に納得できない場合は、調停の申し立てを行います。
12.訴訟
調停でも解決できなければ、最後は訴訟となります。