【事案】

 信号のない道路を徒歩で横断中、普通車に衝突された事故。これにより、左脛骨解放骨折と左腓骨骨折の怪我を負った事故。

【問題点】

 今回のご相談は、すでに事前認定で申請し、左脛骨骨折・左腓骨骨折に伴う可動域制限で12級7号が認定された後のご相談でした。お会いして患部を見せてもらうと、左下腿内側にかなり大きな瘢痕を残していた。が、申請した後遺障害診断書を見せてもらってもその部分に関しては全く記載なし。

 前回の実績投稿でも記載したが、その時の案件は申請前からご依頼を受けていたので、出来上がった後遺障害診断書の内容を確認し、足りない部分について医師に追記をお願いしたため、最初の申請できちんと評価されたが、この方の場合は、下肢の醜状で後遺障害が獲れるという事を誰も教えてくれない。

 医師の多くは、後遺障害の認定基準を熟知しているということはあまりない。この方の場合も、下肢の醜状痕に関しては全く触れられておらず、後遺障害診断書もその部分に関しては白紙。
 当然、後遺障害の申請をしても記載していないものに関しては評価されることはなく、見た目にかなりひどい瘢痕を残しているにもかかわらず、何もないこととして扱われることになる。

 もちろん、見た目で辛い思いをするだけではなく、金額の面に関しても、場合によっては数百万円、或いはそれ以上を失う。

 これは恐ろしいことだと感じる。
 何も知らなければそれで終わりなのである。

この方は、賠償金額が妥当なものかどうかのご相談に来られただけで、後遺障害等級については何も疑問を持っていない。
 「先生に診断書をお任せし、先生が書いてくれたものだから間違いのないものに違いない」、「それを保険会社が申請してくれるのだから、これも被害者にとって不利になるようなことにはならないはずだ」という考え(多くの方はこう考えられる)から、認定された後遺障害等級に疑問を持ちようがない。誰も被害者の立場になって、これが本当に最善なのかを教えてくれないのだ。

 たまたま、賠償金額の事でご相談に来られたので、念のために後遺障害の部分に漏れがないか我々の方で確認したところ、これは下肢の醜状痕として12級相当が認定される可能性が十分あると判断し、追加請求をかけることを提案し、そのように進めたからよかったものの、そうでなければ、これだけ酷い事故に遭われたにもかかわらず、多くの賠償額が消えてしまう事になる。

【立証ポイント】

 自分ではどうしていいか分からないとの事だったので、ご依頼を受け、早速、病院に同行する。

 私の方から医師に、醜状痕で後遺障害が別途評価される可能性がある事を説明し、追加でもう1枚、醜状痕について記載された後遺障害診断書の作成を依頼。
 医師は、これで後遺障害等級が何か変わるの?という感じであったが、記載自体にはご協力いただけた。

 結果は、やはり我々が考えた通り、問題なく下肢の醜状痕で12級相当が認められ、前回認められている下肢の可動域制限での12級7号と併合され、11級が認定された。