【事案】
信号のない交差点で、横断歩道を自転車で横断中、前方より右折してきた車に衝突され急性硬膜下出血の怪我を負った事故。
【問題点】
急性期の病院で開頭血腫除去術を行った後、リハビリ病院に転院。経過良好として治療終了になりそうとの事でご相談。ご家族からのお話では、集中力や注意力がなくなり、ちょっとしたことでもかなり激怒するようになってしまったとの事だが、急性期の病院の先生からはこれ以上は何もする事が出来ないと言われ、そろそろ治療終了になるとの事。本当にこのまま終了していのかどうか、どうしていいかわからない状態。
この方の場合も、高次脳機能障害を負った方にありがちな見逃されたまま終了の危機!
ご家族からのご相談後、すぐに入院先のご本人にお会いしに行く。話は出来るものの、同じ話を何度も繰り返し、言いたいことがうまく伝えられていない感じ。ちょっと気に入らないことがあるとすぐにイライラしてくる。これは、高次脳機能障害の可能性を追った方がいいと感じる。そうでなければ、近いうちにこのまま治療終了となり、後遺障害としては正当な評価を望む事が出来ず、少額の賠償金をもらって終わりになってしまう。
【立証ポイント】
早速、手術して頂いた急性期の治療先の病院に同行し、高次脳機能障害の検査をしてほしいと依頼するところから始める。ところが主治医の先生は高次脳機能障害に懐疑的。そもそもこの病院では神経心理学検査などの検査は出来ないとの回答。
だが、以前担当した案件で、この病院で神経心理学検査を行ってもらったことがあった為、その旨先生に話し、リハビリ科に確認をしてもらう。リハビリ科からは検査は可能との回答を得る。
知らなければ、検査が出来ないと言われれば「そうですか」と納得するしかないが、ここでも経験が役に立つ。いくつかの検査項目を主治医に依頼して、リハビリ科でも打ち合わせ。一通り検査をして頂く。
検査結果として、大きな障害はないが、注意機能、遂行機能などに若干の障害が残ると出たが、主治医はやはり高次脳機能障害には懐疑的。後遺障害診断書を書いても意味がないようなことを言われる。
何とか主治医を説得し、後遺障害診断談書の作成をして頂き、検査結果を回収。ご家族からも話をお聞きし、ご家族が感じている事故後の変化をまとめたレポートを付けて申請。
主治医が障害に懐疑的だったため、どこまで評価してくれるか心配していたが、高次脳機能障害で7級4号の認定を得る。