上腕骨遠位端骨折
上腕骨遠位端骨折は、骨折の部位により、上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、上腕骨内側上顆などがありますが、骨折する頻度が高いのが上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折です。
バイクや自転車で転倒して手をついたときに起こります。
単純レントゲン撮影で診断が可能です。
上腕骨顆上骨折では、徒手整復後ギプス固定する方法と別途に寝かせ、骨折したほうの腕を上から垂直牽引する方法があります。
転位が大きい場合は、徒手整復した後、金属鋼線を皮膚の上から侵入して固定する経皮的鋼線固定という方法か、手術により整復して金属鋼線で固定する方法がとられます。
合併症として最も注意が必要なのは、全部の指が曲がったままで伸ばせなくなるフォルクマン拘縮です。
その他に考えられるのは、正中神経麻痺、尺骨神経麻痺、
肘を伸ばした時に内側に曲がる内反肘変形です。
上腕骨外顆骨折では、転位の小さいものはギプス固定による保存療法がとられますが、関節内の骨折のため、キルシュナー鋼線やスクリュウなどで内固定する固定術が行われる可能性が高くなります。
注意が必要なのは、診断を誤り、手術が必要にもかかわらず保存療法を行ってしまった場合に偽関節を生じ、その後、外反肘変形を起こすことがあります。
これにより、長い年月をかけて遅発性尺骨神経麻痺を起こす可能性があります。
上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折いずれの場合も、固定による肘の可動域制限を防ぐために、出来るだけ早い時期からのリハビリが必要です。
後遺障害としては、偽関節、変形癒合などがあります。
偽関節に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1069.html
骨がきちんとくっつかずに、まるで大腿骨の真ん中に関節が出来たようになることです。
また、癒合するときに変形して癒合してしまうこともあります。
変形癒合に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1179.html
偽関節を残せば、後遺障害7級9号、8級8号が、変形を残せば後遺障害12級8号が認定される可能性があります。
上腕骨外顆骨折の場合は、可動域制限を残すことも多く、骨折により可動域に2分の1以上の制限が残った場合は後遺障害10級10号が、可動域に4分の3以上の制限が残った場合は後遺障害12級6号が認定される可能性があります。